同じ町内で「江戸文字三千字」を出版した佐山英雄さんがラジオの文化放送のインタビューを受けた時の話。
半纏に角帯、雪駄掃きで腰に煙草入れを下げた普段の格好で新宿へ出かけました。
しかし対応したアナウンサーは、その姿に度肝を抜かれたようで、
「きょ、今日お持ちの番傘はどうなさったんでしょう。」
「これか?出る時に深川は雨だったんだ。」
当たり前のことに面倒くせー、と掃き捨てるようないつもの調子に困ったアナウンサーは、
「えー、江戸文字というのは普通とは形が違うんですが、なぜそうなっているんでしょう?」
「昔からそうなってるんだ。」
「、、、、。(絶句)」アナウンサーは返答にとりつく島が無い。
5秒以上の無音は放送事故になるので、あせったアナウンサーは、視聴者へのお知らせとして
「こ、この本はどちらで購入出来るんでしょうか。」
「それがなあ、出版社がつぶれちまってなあ、もう無えんだよ。」
どう話をつなげればいいのか、アナウンサーの苦悩が放送からつたわり深川では大うけでした。